それが変化したのは、梓が大学を卒業して一年ほど経った頃のことだった。

 梓はごく普通に就職活動をし、都内の中小企業に就職していたのだけど、その年の冬の終わりに別の終わりも訪れた。

 大学の頃から付き合っていた彼氏との別れである。

 元カレは大学を卒業して就職したものの、関西支部へ配属となったのだ。

 東京からは遠すぎる場所。

 それでも遠距離恋愛をして、一ヵ月に一度はどちらかが相手の元へ向かう交際を続けていたけれど、やはり遠距離は難しい。

 会う頻度も、連絡も、だんだん時間が空くようになっていった。

 梓はそんなふうになってしまった関係の中、なんとなく察するようになってしまった。

 きっとこの関係はもう終わりなのだろう。

 二人の間に、距離も時間もたくさんありすぎる。

 まだ若い頃には障害として大きすぎるものだった。

 それで、冬の終わりに切り出されたのだ。

「ごめん、別れてほしいんだ」