エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない

『和臣先輩! 卒業、おめでとうございます!』

『ありがとう。開けてみていいか?』

 梓が渡した、小さな紙袋。

 中から出てきたのはストラップだった。

 金属製の花と葉のチャーム、いくつかのビーズがついているだけのシンプルなものだ。

 男性が持っていてもかわいらしすぎるということはないだろう。

 手先が器用な梓は、ビーズやチャームなどを使ってちょっとしたものを作るのが得意だった。

 それを生かして、シンプルなストラップを作ったのだ。

『そ、その……作ってみたんです。もしご迷惑でなかったら……』

 ちょっとだけためらってしまったのは、当時の和臣には彼女がいたからだ。

 だからアクセサリーはやめた。

 それは彼女に失礼だろう。

 でもストラップなら、と思って作ったのだ。

『迷惑なもんか。ありがとう。大事にするよ』

 和臣は笑って受け取ってくれた。

 まだ二人とも制服を着ていた頃……そう、今となってはもう十年以上昔のことだ。