「……素敵」

 和臣が取り上げて、梓の薬指に通した指輪はぴったり嵌まった。

 サイズも質感もぴったり馴染むそれは、まるで元々ここに嵌まるためのものだったように感じられる。

 そっと持ち上げ、ピンクゴールドのリングを見つめる梓の瞳は優しいものになっていた。

 逆の手でやわらかく包み込む。

「きれーい!」

 その隣から和が身を乗り出してきた。

 子ども用の椅子に腰掛けて、静かにしているように言われたから良い子でいてくれたけれど、ついに興味が抑えきれなくなったようだ。

 和臣と梓は視線を合わせて、そして、ふっと笑った。

 同時に和へ視線を向ける。

「いいなぁ、ママ、きれいなゆびわ!」

 和のほうへ手を差し出すと、和はふっくりした手で、優しく指輪に触れてきた。

 大切なものだとよくわかっている手つきだ。

「ふふ、ありがとう」

 お礼を言った梓だったが、そこに和臣が別のものを取り出した。

 それも箱であった。

「和。和にもあるぞ」

 ちょっとおかしそうに言った和臣。

 和は目を真ん丸にした。

「えっ、わたしに?」