和臣が訪ねてきて、梓と和二人の家に招き入れて。

 リビングで和臣と和は、改めてしっかり向き合った。

 梓は二人の様子を、どきどきしながら見守った。

 しっかりした格好なのは和だけではない。

 和臣もスーツであるし、梓もかっちりしたワンピース姿だ。

「ずっと会いたかったよ」

 視線の高さを合わせて、和に言う和臣。

 愛おし気な表情と声音で、心からそう思っていると梓にも伝わってくる。

 梓の胸を強く打った。

 でも泣くところではない。

 込み上げそうになった涙を飲み込んで、ただ見守った。

「わたしも……ずっと会いたかった! ……パパ!」

 和がそう返事をして、今度は我慢できなかったのだろう、声を上げ、ばっと動いた。

 目の前にしゃがむ和臣の体にしがみつく。

「ああ。……ああ。ありがとう」

 和臣はぐらつくこともなくそれを受け止め、和の体をしっかり抱いた。

 その声が涙混じりだったことを、梓は知ってしまう。

 泣いてこそいないが、声は少々震えていて、泣きたいほど感情が高まっているのが伝わってくる。