エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない

 だから聞きはしなかった。

 和臣も説明する気はなかったようで、別のことを言った。

「だが、もう名実共に解消してきた。清算した、と言っては冷たい言い方かもしれないが、もう今度こそ完全にフリーだ。俺の気が回らなかったために、こんなことになってしまって、申し訳なかった」

 和臣は頭を下げた。梓のほうは小さく首を振る。

「……そんなことはない、です」

 確かに婚約だの、その手続きだのが上手くいかなかったからこそのことかもしれない。

 だが和臣に悪い考えがあって、そんな状況だったはずはないのだ。

 そのくらいわかる。

 よって梓は首を振ったのである。

 すべてはっきりした。

 そしてすべてまっさらになった、といえるのだろう。

「……ことの経緯としては、これですべてということになるかな」

 和臣がそう言って、一旦話は区切りがついた。

 今度こそ、今日の目的、梓の気持ちについて話すときだ。

「はい。……和臣さん」

 梓はごくっと喉を鳴らした。

 和臣を呼ぶ。

 和臣は「ああ」と返事をしてくれた。