○回想:出会い
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 莉央と蓮が付き合うことになったのは、何処にでもあるような、ありふれた恋愛ストーリーと同じ。


 駅で莉央が定期を落としたことが始まり。

 同じ学校に通う、同じクラスだった二人。顔よし性格よしスタイルよしのキラキラ女子である莉央。一方で蓮は地味で根暗なオタクっとからかわれているような生徒だった。


 同じクラスでも絡んだことなんて無かった二人だが、紛失した定期を拾って莉央に届けのが蓮だった。


 それも、教室で渡せばいいものを、わざわざ空き教室に呼び出して、、


蓮「俺なんかが塩川さんに話しかけたら、迷惑だと思ったから。」


 なんて─…莉央ことを思って、人目を避けて落し物を届けた蓮。その姿に胸をうたれた莉央は、、


莉央『ま、待って─・・・あの、私と友達になりませんか?』


 気付いたら、そんなことを口走っていた。その瞬間、一瞬…眼鏡のレンズの先にある蓮の瞳が大きく見開かれた


蓮「なんで・・・俺なんかとっ、」

莉央『"俺なんか"って、ソレやめたら?正直、速水くんがどんな人なのか…よく知らなくて、私も今まで関わるのを避けてきたけど。今は君のことが知りたいって…そんな風に思ってるよ』


 っと、真っ直ぐに蓮の目を見てそう言った莉央に蓮はとても嬉しそうに笑顔を作った。


莉央(あぁー・・・好きになる)
(きっとこの先私は、彼のことを好きになる)


 案の定、彼と親しくするうちにどんどん惹かれていってしまった莉央。


○回想:放課後の教室


莉央『──蓮くんが好き、私と付き合って』


 帰ろうとしている彼を引き止めた莉央は、誰もいなくなってから意を決して告白をしたものの、蓮が少し困ったような表情をしたので、、


莉央(─あぁ、振られる)


 っと、莉央が肩を落とした瞬間、、


蓮「俺も…莉央ちゃんのこと、好きだよ」




 っと─そんな言葉が聞こえてきて、慌てて顔を上げた莉央の視界に入ったのは…いつも掛けていた眼鏡を外して、顔を覆っていた長い前髪をかきあげた、蓮の姿。


莉央『─…え?だ、だれっ』

蓮「誰って…ちょっと傷つくんだけど。莉央ちゃんはダサくて根暗な俺の方が好きなの?」


 突然現れた神ビジュアルのキラキラ男子仕様の蓮の姿に思わず見惚れてしまう莉央。


蓮「眼鏡、掛けてると・・・デキないからさ」

莉央(──なにを、?)


 っと聞き返す前に、蓮に唇を塞がれた莉央。チュッとリップ音を鳴らして莉央から離れた蓮は…



蓮「─・・・これで莉央ちゃんは、俺のモノ」


 なんて言って笑うので…その激しすぎるギャップについていけず、莉央が腰を抜かしてしまったのは─…今となっては、二人にとっていい思い出。