「花湖はどうなんだよ?」
「どうって、なんのこと?」
「俺の私物を身に着けること。
嬉しいの? 嫌なの?」
もちろん、嬉しいよ。
嬉しいけれども……
「俺さ、高校にネクタイつけてくるとか
ありえないんだよね」
と、立ち上がり
「俺が好むファッションセンスじゃないし。
結ぶのめんどい。マジで邪魔。
つけなくても良いって
理事長にも言われたんだよなぁ」
理事長室を徘徊し始めた明日翔くんに
私は本心を伝える勇気がない。
「ネクタイ嫌いな俺が
結んで登校してる理由
花湖にわかる?」
沈んだ顔で
いきなりそんな質問されても……
「わからない…です……」
「俺の憧れ……だったから……」
「えっ?」
「自分のものを
身に着けさせたかったから……
大好きな女に……」



