「あっ…成瀬くん、ごめんね」
「なにが?」
「毎朝私達、うるさくない?」
「えっ?」
「沙織ちゃんとおしゃべりするのが
楽しすぎて
つい大きな声で
しゃべっちゃってるよね?
今、気がついたよ……」
「僕はうるさいなんて
思ったことはないよ。
今日は雛形さんの髪型が
どんなふうになるんだろう?って
毎朝、勝手に楽しんでいるし」
フフフとお月様みたいに
おっとり微笑んだ成瀬くん。
相変わらず優しい人だなぁ。
怒ったところなんて、見たことがない。
誰と話す時でも、ほわわんと笑っている。
寒い冬に陽だまりで揺れる
タンポポの綿毛みたいな男の子。



