私は自分の席に座ったまま

 握手ができそうなほど近くにいる

 成瀬くんに頭を下げた。


「成瀬くん、ごめんね。

 昼休みが終わったら
 私の席を元の位置に戻すから」


「えっ? あっ…謝らなくていいよ。
 僕は迷惑だなんて思ってないしっ」


 焦り顔で、小刻みに両手を振った

 成瀬くんは


「最近、雛形さんは
 お昼休みは教室にいないよね?

 もしかして、机に置かれてた花と
 関係ある?」と


 心配そうな瞳で私を見つめてきた。



 成瀬くんも気にしてくれているんだ。

 今朝、見られちゃったしね。



 明日翔くんがこの学校に来た

 次の日から、毎朝

 私の机の上に花が置かれ始めた。


 透明な花瓶に

 一本だけさしてある菊の花。


 登校してくると私の机は

 亡くなった人の机みたいになっている。



 教室に一番早く来る私。


 みんなにバレないうちに

 音楽室の花瓶に

 花をさしに行くようにしているけど。



 他にも、ちょっと不快に思うこともあったり……


 
 これって……イジメなのかな?



 誰かに恨まれている事実に

 私の心がズキズキ痛んでしまうんです。