花湖side









「ねぇ、見た見た?
 昨日のミュージックナイト」


「見たに決まってるじゃん!
 ほんと、ヴァンピって最高すぎぃぃ!!」



 どこの高校も、朝の教室はこんな騒がしいのかな?


 朝のHR前。

 悲鳴に近い女子達のキュンキュン声が

 教室内に響き渡っている。



 私、雛形(ひながた) 花湖(かこ)
 
 浮かれ女子の輪の中には入らない。



 教室の一番後ろにある自分の席に座り


 『アイドルなんて興味はありません』


 腰まで伸びるユルフワ髪を

 指に巻き付けながら

 視線を窓の外に逃がしている。



 はぁぁぁぁ、本当のことは言えないよぉ。


 実は

 ヴァンピ愛を語る女子たちに興味津々で

 聞き耳を立てているなんて。