明日翔くんの求愛行動は間違っている


 
 ざわつく客席。


 明日翔くんを励ます声掛けは

 一つも飛んでいない。



 私は一番後ろに座ったまま

 カフェオレ色の髪を指でこすり
 
 重いため息を吐きだす。




 はぁぁぁぁぁ……


 明日翔くん一人に

 頭を下げさせているなんて

 耐えられないよ。



 私もステージに上がって

 明日翔くんは悪くないって
 
 庇わなきゃ!!



 数分後には

 私に飛んでくるであろう

 生徒みんなからの冷やかな罵声。



 受け止める覚悟を決め

 座席から立ち上がろうとしたけれど

 私は明日翔くんの側に行くのを断念した。



 だって


 ステージ端に立っていた

 狂夜さんが動き出したから。