明日翔くんの求愛行動は間違っている



 げんこつをブンブン振り

 声を張り上げた私。


 ボリュームが大きすぎて

 教室中に響き渡ってしまったのは

 もはやしょうがない。


 巻き付く沙織ちゃんの腕の中から

 逃げ出した私は

 軽く沙織ちゃんを睨んでみた。



 そう、沙織ちゃんを睨んだ……

 ハズだったのに……


 私の鋭い視線が捉えているのは

 親友の瞳ではなくて。



 廊下を歩いている男の子。




 ……えっ?




 私は固まってしまった。


 彼に瞳を奪われたまま。


 目が点の状態で。




 ……あの男の子って。