「沙織ちゃん、早く席に戻らないと……」
「今朝も、キュートヘアの完成だよ。
鏡みてみて。
明日翔くん好みに仕上げてみたんだから」
沙織ちゃんは、完全に私が
明日翔くんを大好きだって
思いこんでるよ。
その通りだけど……ごまかさなきゃ!
私は手鏡を出し、自分の顔を映した。
私を後ろから抱きしめたまま
ドヤ笑顔を浮かべる沙織ちゃんも
一緒に鏡に写りこんでいる。
「なんで左右の横髪をゆるく編んで
後ろでむすんだハーフダウンヘアが
明日翔くん好みになるの?」
「えっ? 適当。なんとなく」
「根拠なし?」
「だって私、顔すらわからないくらい
ヴァンピの明日翔に興味なしだもん。
でも、根拠はあるよ。
ほら、クラスの男子を見てごらん」



