「会えない花湖に惚れて欲しくて
大人気アイドルになって
テレビに映りたかったんだって。
カッコいい自分を見て欲しくて
歌もダンスもお芝居も
全部全力で努力をしまくったらしいじゃん。
その苦労話を聞いたら
もう涙が止まんなくなっちゃってさ。
私がバレーボールの試合で
勝ちたくて頑張り続けてきたことが
ぬるま湯レベルだったって
反省しちゃったよ」
私に好きになってもらうために
アイドルになって
テレビに出続けていたってこと?
「そそ…そんなはずないよ。
だって私、明日翔くんに会ったのは
10歳の時に一度だけで……
明日翔くんが眉をしかめるくらい
私、泣きじゃくっちゃって……
ブサイクとも……言われたし……」
「彼は好きな子に無駄吠えしちゃう
タイプで、間違いないね。
10歳なら、余計にそういう
初恋こじらせ時期でしょ?
素直になれなくて
花湖に毒を吐いちゃったらしいよ」
でもでも……
「スマホの待ち受け画面に
明日翔くんと腕を組む
美女が映ってたんだよ」
仲良しカップルみたいに
二人とも微笑んでいて……
「だからその子は
明日翔くんの妹なの!」
「ほんとに?
似てなかったけど」
「花湖を嫉妬させれば
大好きになってもらえるって思い込んで
恋人っぽく写るように
妹に協力してもらったんだって」
「いきなり……
そんなこと言われても……」
「まぁ、相手の恋心って
信じられないよね?
目に見えないものだしさ。
両想いになったって
喜んだら喜んだで
今度は
裏切らたらどうしよう……って
不安に襲われちゃうものだしさ」
「……うん」
明日翔くんが
私のことを好きだなんて
未だに信じられない。
もちろん沙織ちゃんが
嘘つきじゃないことは知ってるよ。
でも……



