明日翔くんの求愛行動は間違っている



 耳まで真っ赤な顔で

 ぎこちない声を震わせていた

 成瀬くんだったけれど……


 
「あっ、いたいた!
 か~~~こ!!」


 ショートの黒髪を揺らす沙織(さおり)ちゃんが

 いきなり私の背中に飛びついてきたから

 成瀬くんは話すのをやめてしまったらしい。



「あっ……
 やっぱり、なんでもない……」


 と、小刻みに手を振り

 視線を床に落とした。





「成瀬くん、何か私に
 言いたいことがあるんじゃないの?」



「ほんと、何でもないから。
 気にしないで」



「そっかそっか。
 じゃあ、また言いたくなったら教えてね。

 それにしても沙織ちゃん
 いきなり背中に抱き着かれたら
 ビックリするんだよ」



「嬉しくない?
 サプライズで私に抱き着かれるの
 花湖(かこ)は好きだと思ったんだけどなぁ」



「沙織ちゃんの頭
 私の背中に突き刺さったよ」



 バッファローが突っ込んできたかと

 思ったんだから。