明日翔くんの求愛行動は間違っている




「あっ、もうこんな時間じゃん!」と


 壁の時計を見るなり

 慌てだした沙織ちゃんは


「花湖のめっちゃ長くて
 綺麗に波打つカフェオレ色の髪を
 早く私にいじらせてください」

 顔の前で手を合わせ、お願いしてきた。


 フフフ、沙織ちゃんが必死だ。

 将来の夢は、美容師さんだもんね。

 私が練習台になってあげなきゃ。


「こちらこそ、かわいくしてください。
 よろしくお願いします」


 私は椅子に座ったまま
 
 沙織ちゃんに軽くペコリ。


「じゃあ今日も
 花湖をこの学校一可愛いお姫様に
 仕上げちゃうからね!」


 腕まくりをした沙織ちゃんの目は

 やる気の炎を燃えたぎらせている。