明日翔くんの求愛行動は間違っている



 心の痛みを逃すように、顔をゆがめた俺。


 ノエルからの優しい言葉を

 期待していたのに……


 一見、いい人顔のこの理事長は


 傷ついた俺の心に

 ばんそうこうを貼ろうなんて

 そんな優しい気づかいは

 持ち合わせていないらしい。



「ドアの向こうで聞いてましたよ。

 明日翔
 さっきのは何だったんですか?!」と


 強張った顔で、俺を責めてきた。




 なんだよ、その怒り顔。


 普段は『微笑み地蔵か』ってほど

 優雅に笑ってばっかいるくせにさ。



 相手が怒れば、もちろんその上をいく。

 それが俺。

 宇宙人アイドル、鋭利(えいり) 明日翔(あすか)



 俺は怒り口調に、嫌味スパイスを追加した。



「俺と花湖の会話を聞いてたなんて。
 ノエル、趣味悪すぎだな」



「怒らないでください、明日翔。

 天使と見間違うくらいの
 真ん丸キュートな瞳が
 オオカミみたいに吊り上がってますよ」

 

「自分が怒れば相手も怒るって
 俺に毎日言いまくってんの
 あんたじゃんか。

 ノエルが怒ってんだから俺も怒る。

 何が悪いわけ?」



「冷静に。声を荒らげないで」



「ノエルだって
 いつもの5割増し、デカ声な癖に」