☆明日翔side☆



 俺の前から逃げていく

 大好きな女の背中に


 悲しみの視線を

 突き刺すことしかできない俺。



 バタンとドアが閉まった。


 もちろん、花湖(かこ)の姿は

 この理事長室から消えている。



 何が悲しかったんだよ……

 
「菊の花……
 好きなんじゃなかったのかよ……」



 俺はソファに勢いよく拳を突き刺し

 そのままバタリ。


 窒息しそうなほど強く

 顔をソファにうずめた。




「俺のこと……
 大好きって言ったくせに……」



 あの言葉、ウソだったわけ?


 両想いだと信じ込んで

 舞い上がった自分が

 バカみたいじゃんか!!