大鴉くんは私の目の前まで来るとじっと私の顔を見つめてから口を開いた。



「お前は昔から変わらないな」



大鴉くんが口にした言葉の意味を考えていると、大鴉くんの顔が近付いてくる。


それを理解したときには大鴉くんの顔が目の前にあった。


唇に何か柔らかいものが当たる。


それがキスだと気付くとの周囲から女子の悲鳴が上がったのはほぼ同時だったと思う。


な、なんで私大鴉くんにキスされてんの!?


驚きと困惑で私は思わず大鴉くんを突き飛ばす。


しかし大鴉くんは少しふらついただけでしっかり立っている。


大鴉くんは口の端を上げて楽しそうに笑った。



「顔、真っ赤」


「なっ……」



誰のせいだと……!


このとき、滅多に笑わないイケメンの笑顔の破壊力はすごいということを身をもって知った。




収拾がつかないほど騒がしくなった集会は、これ以上騒がしくなる前にと校長先生の指示で幕を閉じた。


その日は一日中、クラスいや学年中の女子生徒に囲まれて根掘り葉掘り聞かれて放課後にはくたくたになっていた。