「それにしてもひなって昔からカラスに囲まれてたわね」


「うん。しかも高校入学してから回数増えた気がするんだよね」


「中庭出るまではカラス全然いなかったよね」



私は沙織の言葉にうんうんとうなずいた。




私は幼い頃からよくカラスに懐かれる。


別にマタタビみたいなものを持っているわけでも光り物を持っているわけでもないのに、見かけるカラスは決まって私の元へ寄ってくる。


けれど、攻撃してきたり持っている食べ物を食べようとしたことはない。


寄ってくるカラス達は皆私に甘えるように、そして私を守るようにくっついてくるのだ。



「何回も言ってるけどやっぱりカラスの恩返しじゃない?」


「かなぁ? でもそれ私が小さいときの話だし……」