その9
夏美


「私…、文化祭には参加したい。ダンス大会にも出場したわ。でも…」

朝野さんは率直な胸の内を、ユーキと私に告白してくれた

「朝野さん、今言った通り、クラス全員で決めたことにそっぽをむくのはいけないことよ。だから、あなたの考えが普通なのよ。でも、それを宣言するのに拒む障害があるなら、私たちと一緒に解決していきましょう」

「相川さん…」

「あなたはまだ知らないことだけど、この際、はっきり言うわね。桃子たちのグループは、学級委員を自分たちの言いなりになる子で据える画策を擁したわ。クラスのみんなに強要したの。でも、多くはそれには従わず、屈しなかった。その結果、文化祭は自分たちがやりたくない案が通った…」

「…」

朝野さん、唇を噛んでるわ…


...



「だから、そんなのやってらんねーやって、ボイコットよ。それ自体けしからんってことだけど、百歩譲ってそうしたければ自分達だけで行動すればいいのよ。参加したいと言う仲間を無理矢理ダメだってのは、道理が通らないって!」

私の熱弁を受けて、今度はユーキがそれを上回る熱弁よ

「朝野さん!まずは今の気持ち、はっきり桃子に言って。その場所の近くで私たちも控えてるから。彼女のことだから、強く出てくるかも知れないけど、然るべき場面になったら、私たちがすぐ駆けつけるから心配しなくていい」

「…でも、その後が怖いわ。あの人たちのグループのこと、私もだいたいは知ったから」

「大丈夫よ。その後はこっちのグループに入って、楽しくやりましょう。…いい、朝野さんが勇気を出して文化祭に参加すると宣言すれば、先生もそれを支持する。当たり前よ。相手は最初から賊軍なの。大義はこちらにある。その大義を掲げれば、他の子たちもそれに連なるわ。何も恐れず自信を持って。ねっ!」

「うん!二人とも、ありがとう…」

彼女はやや瞳を潤ませていたわ…