その8
夏美



一人っ子の私が幼いころから固執していたもの

それは周りから存在を求められる自分…

そしてその自分を、自分が認めない人間に認めさせる

そんな、どろっとした粘着質な欲…

それは、常に私の中心に居座っていた気がする

ずっと…


...


でもどこか、そこに向かう自分…

向かうことを止められない自分…

そんな私自身への嫌悪感をふと感じたりもしていたの

やがて私は、この私に集まってくる友人、仲間を、私の思う方角へ動かすことへの欲に駆られるようになっていく

最近では、それが出来た時の快感に目覚めつつあるんだ

あの中2の秋は、まさしくその快感を頭と心にはめ込められた、言わばターニングポイントだったわ

私の前には、立ちつくしていた敵の女…

私はその時、彼女から周りの人間を次々と剥ぎ取り、私を好かないと語っていたあの眼を、突き刺すように見つめていたわ

...


その目…、それは悔しそうだった

でも、敵を見る眼光は変わらなかったわ

そう…、私にその目が向けられる限り、私は勝者ではないんだ

だから私は怖れるのよ

私が”持たざる者”になることを…

だから私は欲するの

ひたすら、そして愚直に

私を意識してくれる友人、仲間、そして恋人を…

滾るような思いで…