その7
夏美



しばらく間を置いてから、私は緒方さんに尋ねたわ

率直に

「その理由、聞かせてもらっていいかな?」

すると彼女は待ってましたとばかり、早速歯切れよく答えてくれた

「うん!…二つあるわ。まず、あなたはおそらく、桃子を生理的に好かない女だと思ってる。逆に桃子からしたら、たぶんあなたを一目見て鼻につく”オンナ”だと感じ、即、敵に据えてるよ。まだ表面には表れてなくても、いずれ何らかの形で黙ってても衝突するわ。であれば、大義を以ってぶつかってもらいたいのよ」

「ここで、大義ってことね?」

「そうなるわ。で…、もう一つ。あなたには、人を呼びこみむエネルギーを感じる。そして結集した集団を”巧みに”リードできる能力も備えてるように見えるわ。何よりも一本筋は通っていても、”したたかさ”を持ち得ているってのが強みよ。他の人にはない…」

「…」

ここでは”巧み”にとか”したたか”って表現が、やけに耳に残ったんだよね


...


「…それがあなたの大きな武器なる。桃子のような存在にはね。従って、工藤桃子を打倒する為には、相川さんに立ち上がってもらうしかないのよ!」

「そんな…、私なんかが…」

「ううん…、この学校ではあなたしかいないわ!」

もう緒方さんは私の背中、これでもかってくらいにガンガンだったわ(笑)

なんか、熱意と強い確信が伝わったんで、さすがに根負けって感じになっちゃってきちゃてね(苦笑)

「緒方さん…。じゃあ、みんなでフォローしてくれるんであれば…」

「ありがとう!頼むわね。お互い、向こうに負けない連携で頑張りましょうね」

「よかったね、緒方さん…」

キクはホッとした表情だったわ


...



「うん…、菊川さんのおかげで本当にいい人と巡り合えたわ。ああ、早速、これからあなたが練る計画に使えそうな、いい”材料”を提供するわね」

「それって…?」

「同じ陸上部の2年、タッコとマユミが4組で一緒になったわよね?あの二人、1年ん時から桃子の準仲間ってとこに相当するグループだったんだけど、たぶん、桃子とは早晩切れたいと思ってるはずよ。今からうまくその本音を引き出して、あなたの計画に活かしてみて」

「へえ…、あの二人が?うん、じゃあ、まずはそれとなく聞き出してみるわ」

かくて、私は桃子一派との対決というレールに乗ったわ

そして夏前には、中期的プランでの引きはがし作戦立案に至る訳でね…