その3
夏美


私はちょっと笑みをこぼして3人に提案したわ

「そもそもよ、クラスみんなで多数決とって正式に決まったことよ、ダンス大会は。それを自分はそんなの絶対ごめんよって、学校の行事をすっぽかすなんて、それ自体許せることじゃないでしょう。そんな身勝手に無理矢理付き合わされてるクラスメートを放っておいたら、私たちは偽善者になっちゃう。違う?」

「夏美の言う通りよ。むしろこっちからさ、みんなで決めたことには参加させる説得をするくらいの姿勢が必要よ。少なくとも、転校生で何かと周りに気を使ってる朝野さんには、私たちから歩み寄って行かないと!」

こういう時のユーキは言葉が力強いのよね

さあ、アイコと清美はどうだ


...


「まあ、二人の言ってることは正論だと思うよ、私も。ねえ、アイコ」

「うん。みんなが朝野さんの本意を確かめるべきだってことなら、私もそれでいい。桃子がぎゃあぎゃあ言ってきたら、みんなでまとまって、夏美の筋の通った今の言葉を突き付けてやればいいんだしね!」

「じゃあ、ここにいないこっちのグループ全員とも、このことをしっかり話し合おうよ」

私がここで締めると、3人は大きく頷いてくれた

力強く…


...


その日の放課後、部活が始まる前、更衣室で…

「…じゃあ、予定通りってことね、夏美?」

マユミがニヤッとしながら私に確認してきたわ

「うん。タイミングが来たら合図送るんで、二人は今からそれに控えていて」

「よし!マユミと私で、桃子には引導を渡してやるわ。念を押すけど、私たちが”出る”のは、朝野さんの”後”ってことだね?」

「ええ…、私たちが朝野さんからダンス大会のボイコットは本意でないと聞き出したら、先生に報告して”錦の御旗”をもらう。それを以って、彼女自身の口から自分の気持ちを桃子たちに告げさせる。その後は一気よ」

私は人目を気にしながら、小声ではあったが、強い口調で二人に力説したわ

「うーん、桃子が顔を真っ赤にして怒り狂うの姿が目に浮かぶわね、はは…」

マユミの言葉にタッコもニヤリと笑っていたわ

さあ、いよいよだわ

やってやるって!