7月9日

やったあ!金賞だ

きょう、ぼくは学校の詩のコンクールで
金賞をとった

「よっしゃ~!母さんに知らせなきゃ」

もうスピードで帰ってきた
でもげんかんのカギはしまっていた

母さんはいなかった

テーブルの上に賞状を広げた

金色のおりがみが少しやぶれていた

ぼくはしっかりテープでとめた

先生が記念品をもらえるっていってた

何だろう?楽しみだなあ~

ゆうがたになっても
母さんは帰ってこなかった

いつもぼくのこと
センスがないっていうけど
きょうはびっくりするぞ!

いちばんさきに何ていおうかな?

「じゃ~ん、この金のおりがみは
何のしるしでしょう~?」
ああ、待ちどうしいなあ

「トントントン」

包丁の音でぼくは目がさめた

いつのまにかねむっていた

「ねえねえ、母さん」
ぼくはウキウキした

母さんはふりむくと
「達也、母さん今日から
駅前のスーパーで働くことに
したから」

「これ。げんかんのカギ!」

テーブルにカギをなげた

「それから、母さんの帰りは
7時くらいだから、せんたくものを
とりこむのは達也のしごとね」

母さんは次々としゃべった

とてもつかれた顔だった

ぼくはとうとう金賞のことが
いえなかった

いってもよろこばない気がした
部屋にもどって
賞状をくるくるとまいた

「ちぇッほめてもらいたかったのに」

ちょっと涙がでた

賞状はタンスの上にほうりなげた