見えた!…素朴なキラキラ




”その彼女”は確実に”自然体”でオレへの第一声だった。

なので、オレも自然体を意識して返事をしたよ。

「こにちわ~~!アハハ…、やっとココの貸し切りから解放された…」

「だからって、今度は私に貸し切りのバトン渡すってことじゃないですよね?」

「ええ。自分もまだ汗かき始めなんで、もう少しカキーンカキーン鳴らせてくつもりですよ」

「じゃあ、ココ上がるの、私と大して違わないですかね?」

”いや~、何ともな返しだな、この女性…。多分、かなりのキャリア女子だろう。もっとも、今のオレ的メンタルなら、下駄預け可かも…。よし、誘ってやれ❕”

「…ですね。ちょうど昼時前ってことです。少なくとも朝メシ抜きでココに来た自分は帰宅途中でランチです。よかったら、こういう規制可ですけど、感染リスク厳守で、ご一緒どうです?」

「…」

アハハ…、けっこう明快だな、このヒト…。
顔に”どうしようかな~~❓”ってモロ出だよ。

で…、そのリターンがまた明快だった。


***


「…こんな情勢下でなかったら、多分、ご遠慮しますでした。でも、普通時じゃないんですよ、今は。なので、敢えてご一緒OKですよ❕さあ…、”この時期”にせっかくの出会いランチなんですから、おいしく頂けるようにメチャ汗かきましょう❣」

なんてストレートな返球なんだ。
オレは単純に感激したよ。

へへ、なんかキザだが、平時ならスルーであろうこの手の女性が妙に輝いて見えたんだ。
素朴にキラキラだったよ、うん…。

でも…、それって、申し訳ないが彼女のかいしょってことではなく、”この時期”の醸成した空気が導いたものもあってだろうと…。

第一、最初のオレからの誘い文句も、当の彼女が口にした言通り、”こんな情勢下”でなけりゃ多分声掛けもしてねーよ。

で…、この後、およそ40分間…、二人は桜満開で絢高い柳通りのバッティングセンターを貸し切りでカキーンカイーンと快音を連発させてね…。

オレたち二人は午前11時半前にバッティングセンターを上がり、ランチって流れになった訳よ。