あの日、土砂降りの雨の中傘もささずただひたすらに時計塔をみながら静かに涙を流すひとりの女の子。



その165cmくらいは、あるけど小刻みに揺れている小さな背中が俺の知っているようなものに見えて声をかけようとするけどその時には、もう無い背中。

俺は、彼女がみていた時計塔をみる。
どこか懐しさがあるその時計塔をみて、悲しい訳じゃないのに涙がでてくる。

____ピーピピッ

「またこの夢」

3年前にみたこの出来事がたまに夢に出てくる。

でも、この背中が俺の知ってる二つの背中に見える。

あの時声をかけられていたら、どうなっていたのだろうか。時々考えることがある。

なぜこの夢が出るのか、それはきっとその背中が初恋の女の子と今の生徒会長と重ねて見えるからだ。初恋の子は、もう名前すら覚えていない。

ただ甘ったるすぎないほのかに甘い香りがした事のみ覚えている。

何年経っても呪いのように覚えている。



もう忘れてしまいたいのに______