「次のシーン開始します。よーい、アクション。」

『おい、お前の彼女って女優のみなみだったんだな。知らなかったわ。羨ましいぞ。』

リーダーが僕の心とは裏腹に明るく僕に話しかけてきた。

僕が黙り込んでると、テンが口を開いた。

『リーダー、最近のアキラさんの落ち込み具合でそうじゃないことは、わかるじゃないですか。いつも歌や振りを絶対に間違えない完璧なレオさんが最近は、歌や振りだけじゃなくMCでもずっとボーッとしてるじゃないですか。』

テンの言葉で今の僕がどれほど異常であるかを実感させられる。

『どうしたんですか?もしかして本当の彼女さんに振られたんですか?』

テンが心配そうに僕を見ている。

そんな彼の問いかけに静かに頷いた。

『そうなんですね、、、彼女さんは、週刊誌を見て、浮気をしたと思って振られたんですね。』

『うん。多分それが原因だと思う。』

『言い訳しなかったんですか?』

『しばらく週刊誌の対応に追われてて、彼女に連絡できなかったんだ。そしたら彼女から急に電話がかかってきて、別れてほしいって言われて、そのまま電話を切られてしまったんだ。すぐに電話をかけ直したんだけど、番号も変えられてて。』

『そうだったんですね。』

僕らの会話を聞いていたリーダーが不思議そうな顔をして僕らに話しかけてきた。

『え?どういうこと?じゃあみなみさんと写真撮られたのは、なんだったんだ?』

『あれは、、、』

僕が言いにくそうにしていると、テンが代わりに話し出した。

『リーダー。みなみさんがアキラさんのことを好きだったのは、知ってるでしょう?』

『おう。毎回コンサートに来てたもんな。』

『はい。SNSでもお揃いのスエット着てました。』

テンの言葉を聞き、僕は、口を開いた。

『あのスウェット、彼女のあずさとお揃いなんです。』

『え?じゃあ、みなみさんとお揃いじゃないってこと?』

『みなみさんがアキラさんの気を引くためにしたんだと思いますよ。』

テンは、末っ子のくせに妙に鋭いやつだ。

こんなに僕を理解してくれるメンバーにならこの話をしてもいいのかもしれないと思った僕は、口を開いた。

『あの日は、ドラマの打ち上げだったんです。みなみさんが体調が悪そうでタクシーまでみなみさんを連れて行きました。みなみさんとは、そこでお別れしたんですけど、その瞬間を撮られたみたいです。』

『そうだったのか。』

『僕もう一度彼女と会って誤解を解けるように頑張ります。』