「次のシーン撮影開始します。はい。よーいアクション。」

『僕は、君を愛してるんだ。』

『はい。カット。アキラ、もっと感情を込めて。』

『、、、僕は、君を愛しているんだ。』

〈僕は、思わず涙を流した。〉

『どうしたんだ。アキラ。今は、そんな涙を流すシーンじゃないだろ?、、、お前、週刊誌のことを気にしているのか?大丈夫だよ。みんな慣れてるからそんなこと気にしてないよ。』

〈監督は、僕を励ますためにそう言ってくれた。だけど僕が悩んでいるのは、週刊誌のことではなかった。〉

『よし、しばらく休憩に入るぞ』

〈休憩後すぐにあずさに電話をかけた。〉

『プルルルル、プルルルル。ガチャ。』

『もしもし、あずさ?』

『おかけになった電話番号は、現在使われておりません、、、』

〈電話番号を変えられていた。仕方がない。あずさは、あの週刊誌を観て、僕が浮気をしたと思っているから。いや、あずさは、この週刊誌がなくても僕に別れを告げたと思う。彼女は、僕を愛していなかったから。僕がどれだけ忙しくても何も言ってこなかったから。〉

ある日メンバーと彼女について話していた時。

『最近彼女の束縛がすごくてしんどいよ。』

〈ある日グループのリーダーであるエイトが話し始めた。〉

『俺は、アイドルなのに外にデートに行きたいだとか、クリスマス一緒に過ごせないなんて嫌だって言われちゃって。俺らの職業のことを理解しろよって。』

〈リーダーの言葉に賛同するように最年少メンバーのテンも話し始めた。〉

『わかります。僕の彼女も友達に紹介できないなんて嫌だって。』

〈僕は思わずこう聞き返した。〉

『そういうもんなんですか?』

〈リーダーは、驚いた顔で口を開いた。〉

『え?アキラの彼女は、何も言ってこないの?良い彼女だな。』

『はい。僕が記念日を忘れたときも、デートの日に急に仕事が入った時も何も言ってこなかったです。』

『そうなんだ。理想の彼女じゃん。アキラのことを思ってくれてるんだな。』

〈リーダーの言葉で僕は、彼女に我慢させていたのだと気づくことができた。

彼女は、僕のことを思ってくれていたんだな。

でも次にテンが発した言葉によって僕は、不安になるのである。〉

『それって愛なんですかね?アキラさんのこと愛してないんじゃないですか?』

『何でそうなるんだよ?』

〈僕の疑問をリーダーが代わりに聞いてくれた。〉

『だって好きだからこそ、ぶつかるんだと思います。何も言わないのは、他に男がいるとしか思えません。』

〈僕が心の底で不安に感じていたことをテンに言われたのだ。

図星だった。

僕は、この出来事から彼女は、僕のことを愛していないのではないかと疑うようになったのである。〉

「はい。カット。」

「るい、すごいよかったよ。」

「ありがとうございます。監督。」