*夜桜の約束?* ―再春―

「こんなでっかいベッドなんだから、真ん中行くぞ、モモ」

 立ち上がりモモを抱えた凪徒は、ベッドの上を数歩膝で進み、大きな枕を背もたれにゆっくりと降ろした。

 ──せ、先輩にお姫様抱っこされた……。

 残念ながらモモには昨秋の日本酒事件の記憶がないので、これがお初だと勘違いしてしまう。(シリーズ三作目*塞がれた唇* ー秋ーをご参照ください)

「あ、あの、えーと、お風呂は……」

「公演の後にシャワー浴びたんだろ? 別に臭くもないし、どうせならお前の匂い付けて帰ってやる」

 ──つ、付けて帰る?

 言われることもされることも、全てに馴染(なじ)みのないモモには、一つ一つを理解するのに時間が掛かり、そうしている間にシャツの第一ボタンが外されていた。