優しい笑みを浮かべてお礼を言った後、ジークフリードは丘の上へと向かう。そこには墓地があり、そこにはソフィアも眠っている。

「ソフィア、これをお前に」

墓の前に花束を置く。唯一、ジークフリードが知っているソフィアの好きなものだ。そして、この花の名前を忘れることはない。

「ソフィア、俺に愛という感情を教えてくれてありがとう」

頰を赤く染めながらジークフリードは言う。ザアッと音を立てて風が吹き、ジークフリードの頰を撫でていく。

空は、ジークフリードが「愛」を知った時のように美しい青で染まっている。同じ景色をソフィアも見ているのだろうか、とジークフリードは目を細めた。

ブルースターの花言葉は、「幸福な愛」。凍っていた心を溶かし、愛とは何かをジークフリードに教えてくれたソフィアにピッタリの花だ。

「ソフィア」

ジークフリードは墓の前で言う。ソフィアに言うことができなかった言葉を。彼の瞳から、また涙が零れ落ちた。