君に、ブルースターの花束を

親に用意された相手に対し、一体どんな手紙を書いたのか。きっと恨み言に違いない。半分そう思いながら手紙を開ける。

『一目惚れ、運命の相手に出会った時に感じるこの気持ちは恋愛小説の中でしか知りませんでした。きっと、ジークフリード様はこの気持ちを信じてはくれないでしょう。だけど、私の中にはあなたに対する愛が生きています。あなたの笑顔を一度でいいから見てみたい』

『何が好きで、何が嫌いなのか、ジークフリード様に聞きたいです。でも聞けない。私は意気地なしです。あなたの役に立ちたいのに、必要なことが聞けないなんて……。ジークフリード様の心の中をほんの少しでも覗けたらいいのに』

『私の淹れたコーヒーを飲んでくださり、ありがとうございました。実は誰かにコーヒーを淹れるのは初めてで、うまく淹れることができたか心配でした。でも、いつも固い表情のジークフリード様の目がほんの少し優しいものになったことが、私はすごく嬉しいです』