君に、ブルースターの花束を




ソフィアの死を知らされた後、タバコを吸っているジークフリードの元にまた部下がやって来る。その手にはソフィアのかばんがあった。

「少佐、ソフィアの荷物です。婚約者の少佐にお預けした方がいいと思い、持って来ました」

「わざわざすまないな。ありがとう」

タバコを消し、ジークフリードはお礼を言う。その時にふと気付いた。ソフィアに一度でもお礼を言ったことがあったのかと。答えはNOだ。コーヒーを淹れてくれても、食事やお風呂の準備をしてもらっても、いつもジークフリードの口から出てくるのは「ああ」だけだった。

部下から荷物を受け取ると、ズシンと重さが両手に伝わる。かなり重く、何が入っているんだと気になり、ジークフリードはかばんの中を開けた。

「手紙?」

かばんの中いっぱいに、真っ白でシンプルない封筒に入れられた手紙が入っている。そして、そこに書かれている手紙は全てジークフリードに宛てたものだった。

「一体、何を書いたんだ?」