君に、ブルースターの花束を

これから行くのは、銃弾が飛び交う戦場だ。人が人を殺すことが当たり前の日常となっている。そんなところにソフィアは飛び込もうとしている。モヤモヤとした気持ちが込み上げたものの、ジークフリードは「そうか」としか言えなかった。



陸軍に入隊したソフィアは、一躍有名人となった。軍人家系のジークフリードの婚約者、貴族、女性、それだけでも兵士たちからの視線はあったのだが、彼女が注目を集めたのはそれだけが理由ではない。

「ッ!」

敵兵が姿を見せると、ソフィアは怯むことなく走っていく。そして持っていた斧で敵兵の急所を的確に斬り付けていく。そう、彼女は強い。そのため、陸軍の多くの人間が「戦乙女」と密かにソフィアのことを呼んでいた。

「ジークフリード少佐、戦乙女がまた活躍したそうですよ!」

彼女の活躍を聞いた新米の兵が、ジークフリードに話しかけてくる。ジークフリードはタバコに火をつけ、ゆっくりと煙を吐き出しながら「そうか」とだけ呟きその場を離れた。