Restart〜二度目の恋もきみと

だが、黒木さんが助け舟を出して
私がホッとしたのも束の間、
「黒木さん、でも午後から取引先に訪問予定では..」
事情を知らない柚琉くんが口を挟んだ。

黒木が「あっ」と思い出したように
額に手を当てる。

きっと、黒木さんは困っている私を
助けるために言ったのだ。
このままでは黒木さんに迷惑かけてしまう。

それにもう逃げたくない。

「黒木さん、私は一人でも大丈夫です。」

私は黒木さんに心配かけないよう
精一杯笑顔を張り付けた。

それを聞いて仁坂がニヤリと微笑んだ。

「じゃあ、上杉さん、
ここに来る途中にカフェ見つけたから
そこでご飯を食べようか?」

「はい。」

私は仁坂の視線を避けて小さい声で答えた。

仁坂に続いてドアから出ようとする私に
黒木さんが「桜良ちゃんっ」と
名前を呼ぶと心配そうな眼差しを向けてきた。

私は「大丈夫です。」と笑顔で一言答えると
事務所を出た。