「んっ...竜海さ..ん..」

息継ぎの合間に竜海さんの名前を呼ぶと
竜海さんはそれを合図のように
私の後頭部に手を添えて、
深く舌を絡めてきた。

私も竜海さんへの思いが溢れ出して
何もかも忘れて夢中で竜海さんのキスに応える。

竜海さんとは今まで何度もキスはしてきたが
こんなにお互いを求めるキスは
初めてのような気がする。

お互い触れたくても触れられないもどかしい気持ちが溢れ出したかのようだった。


すると、そんな私達を引き裂くように
再び竜海さんのスマートフォンが激しく振動した。

しかし、竜海さんはスマートフォンにチラリと目を向けただけでキスをやめようとはしない。

それでも鳴りやまない電話に
「んんっ、竜海さ..電話が..」
未だに熱く舌を絡ませてくる竜海さんに私は諭すように呟いた。

竜海さんは名残惜しそうに唇を離す。
そして尚もしつこく鳴り続ける電話に
煩わしいと言わんばかりに息を吐くと
スマートフォン手に取った。