Restart〜二度目の恋もきみと

ゲホゲホゲホゲホッ

とうとう私は咳き込みながら
その場に蹲ってしまった。

「桜良っ」

「桜良ちゃんっ」

竜海さんと禅ちがうずくまる私に気付いてかけ寄ってくる。

ゲホゲホッゲホゲホッ

しかし、咳は治まるどころか
どんどんひどくなってくる。
咳き込めば咳き込むほど空気と一緒に
香水の香りも吸い込んで悪循環になってしまっている?

「あら、あなた大丈夫?」

御婦人達も心配そうに私に駆け寄ってくる。

香水の香りで咳き込んでいるなんて
失礼なこと言えるわけない。

すると、竜海さんが香水の香りに気付いたのか
「すみません。大丈夫なんで。
桜良取り敢えずここから出よう」
と、私の肩を抱いてクラゲの展示室から出してくれた。

そして、ベンチを見つけると
そこへ私を座らせた。

しかし、ゲホゲホと喘息が治まる気配はない。

「禅くんっ、すまないが急いで何か飲み物を買って来てくれないか?」

どうして良いか分からず心配そうに眺める禅ちゃんに竜海さんは指示する。

「は、はい!」禅ちゃんは自販機を探しに
駆け出した。

竜海さんは苦しむ私を落ち着かせるように
抱きしめるとゆっくりとその背中を擦る。

「大丈夫だ。俺がついてる。
すぐに治まるから大丈夫。」

私は咳き込みながらも
その優しい言葉に涙が出そうになった。