Restart〜二度目の恋もきみと

私は“怒ってたわけじゃないのかな?”と
少し安心したように息を吐いた。

「皆藤さんもクラゲ、お好きなんですか?」

禅ちゃんの問いに竜海さんは「ま、まあ。」となんだかバツが悪そうに答えた。

私がホッと胸を撫で下ろしていると
いきなり強い香水の香りが鼻を刺激した。

咄嗟に隣の水槽を見ると
御婦人達御一行が
「あら、クラゲ綺麗ねぇ」と
楽しそうに鑑賞していた。

ああ、困ったな..

私はハンカチで咄嗟に鼻を押さえる。

しかし、それでも漂ってくる香水の香り。

あまりに強い香水の香りは
喘息を誘発してしまうのだ。

どうしよう..
急にこの場から離れたら二人に
気を遣わせちゃうし..

そうこう考えているうちに
ケホッケホッと少し空咳が出てきた。

ヤバい...

私は必死にハンカチで押さえた。

しかし、隣の御婦人達は
私達の見ているベニクラゲの水槽に気付いてやってきた。

ドンッ

そしてそのうちの一人が私にぶつかって
「あら、ごめんなさいね」と謝ってきた。

私は気を遣わせないように
「いえ、大丈夫です」と
顔を小さく横に振った。

その瞬間、大量に香水の香りを嗅いでしまったのだ。