「桜良ちゃん大丈夫？」

急に顔色が悪くなった私を禅ちゃんが
隣で心配そうに覗き込んでくるんでくる。

「うん..気のせいみたい。」

私は心配させないように笑顔を張り付けて
明るい声で言った。

「そっか。」

禅ちゃんは笑顔を取り戻した私に
嬉しそうに返事をした。

そして再び二人は会社に向かって歩みを進める。

禅ちゃんは昔からいつだって優しくて、
私のウジウジとした悩みを
黙って聞いてくれた。

今も、禅ちゃんに話したことで
気持ちが少しだけど軽くなることができた。

竜海さんには嫌われるのがこわくて
ずっと話すことができないでいたのに..

好きになればなるほど、
距離が近くなればなるほど、
失うことがこわくてずっと話せなかった...

もしこんな風にちゃんと打ち明けていたら
竜海さんは優しく受け止めてくれていただろうか......？