新しい恋なんてもう一生無理かもしれない。

こうやって翠と話している間も
ふとした瞬間に竜海さんを
思い出してしまうのだ。

このグラスに入ったワインを見れば
竜海さんの家でクリスマスを
過ごしたことを思い出す。

シャンパンを買ってきたものの
ワインオープナーをどこに閉まったか
忘れた竜海さんはコルクを抜くのに
かなり悪戦苦闘したのだ。

“折角の桜良とのクリスマスなんだ。
絶対、このコルク開けてみせるから”

と、ムキになった竜海さんが
とても可愛いかったな

私は「フフッ」と思わず声を漏らして
笑ってしまった。
 


竜海さんに会いたいな. . .

神様、少しでも良いので竜海さんに
会わせてください. . .


私はそう願うと、胸が何かつかえたように苦しくなってきて急いでワインを口に含んだ。

そんなの私の様子を禅ちゃんが切ない眼差しで見つめていたのを私は気付かないでいた。