Restart〜二度目の恋もきみと

「こ、これは夢でしょうか..?」

桜良はパニックになって、心の声が漏れ出してしまう。

「夢じゃないよ。
だけど、今は夢だと思ってくれて
構わないから俺の質問に正直に答えて。
上杉さんは俺のこと好き?」

専務の問い掛けに答えたいのに
私の心臓の鼓動は激しく波打って
苦しさのあまり言葉が出てこない。


でも、専務の言うようにこれが夢なら...

桜良は勇気を振り絞って口を開いた。

「好きです...

私も専務が好きです」


そして自分の想いを口にした瞬間、
桜良の瞳から涙がポトリと溢れ落ちた。

竜海は桜良の頬に伝う涙を優しく拭うと
「その言葉、もう取り消せないから..」
フッと微笑みながら言った。

桜良がコクリと頷くと
竜海は顔を横に傾けて
桜良の唇にそっと優しく口づけを落とした。

しかし、すぐに竜海はハッと我に返って
唇を離す。

「ごめんっ、あまりに君が可愛くてついっ」

竜海の言葉に桜良は真っ赤な顔で
「いいえっ」と思い切り頭を振った。

「でも中途半端な気持ちじゃないから、
ずっと上杉さんこと大切にしたいと思ってる。」

桜良は再び流れ出した涙を拭いながら
「ありがとうございます..」と嬉しそうに呟いた。

その様子に竜海の胸もキュッと柔らかい痛みが走る。

竜海は桜良の小さな手に指を絡めて握ると
手を繋いだまま、満開の桜を見上げた。

「来年も、再来年もずっと、この桜の木を
上杉さんと一緒に見たい..」

桜良はグスっと鼻を啜ると
竜海の隣で天を仰いだ。

そして、清々しい笑みを浮かべながら
「毎年、楽しみにしています..」と呟いた。

すると、まるで祝福の紙吹雪のように
二人の上を桜の花びらが降り注いだ。

              
              fin...