Restart〜二度目の恋もきみと

「なんだか日々、竜海さんの意地悪度が増してきてるような気がします。」

「そうかな?こんなに優しい夫はなかなかいないと思うけど」

「フフっ。普通、自分で優しい夫なんて言いますか?」

私は思わず吹き出しそうになってしまう。

「桜良が言ってくれないからね。自分で言うしかないよね」

竜海さんは少し不貞腐れたように言った。

「フフフッ...ごめんなさい。
竜海さんは世界一やさしい旦那様ですよ」

私は笑いながら拗ねた竜海さんを宥めるように言う。

「きっと俺は、好きな子を虐めたくなってしまうタイプなんだよね。
でも、桜良しか虐めないから安心して」

竜海さんは特権だと言うように、私に向かってにこりと笑う。

「それは喜ばしいことなのでしょうか...?」

竜海さんは不服そうに呟く私を見て嬉しそうに目を細めながら、口を開いた。

「桜良を虐めていいのは俺だけだからね。
もし俺以外に虐められたら、ちゃんと言うんだよ。
俺がきっちり懲らしめてあげるから」

そう言って悪魔の笑みを浮かべる竜海さんに
私は「だ、大丈夫です」とワイングラスを手に取り、ノンアルコールのワインを口に流し込んだ。


「あっ、そうだ。
桜良、この後、実家に行く前に少し寄りたいところがあるんだけど」

私は首を傾げながら「どこですか?」と問いかけた。

竜海さんは「それは着いてからのお楽しみだよ..」と言って、意味ありげに含み笑いをしている。

私は行き先が気になりながらも、美味しい料理に舌鼓を打った。