Restart〜二度目の恋もきみと

竜海さんが顔を上げると禅ちゃんは
「桜良ちゃんは僕の大切な友達なので、助けるのは当たり前ですよ」
優しい眼差しで答えた。

“大切な友達”という言葉に私の瞳に涙が浮かぶ。

「皆藤さんすみません。実は僕、この前、桜良ちゃんに告白したんです。
あのっ、でも、安心してくだいっ。こてんぱんに振られましたから。」

禅ちゃんは慌てて言葉を付け加えたが、竜海さんのあまり驚いてない様子に
「あッ、もしかして桜良ちゃんから聞いてました？」
首に手を当てながら苦笑いした。

「ああ、すまない．．．」

竜海さんは申し訳なさげに呟いた。

「いえ。謝らないでください。
僕が勝手に好きになって告白して自滅したんですから」

禅ちゃんはハハッとおどけたような口ぶりで言う。

「でも、振られた直後はかなりへこみましたけど、今はなんだかスッキリしてるんです」

禅ちゃんは清々しい顔を浮かべて言葉を続ける。

「桜良ちゃんが結婚した時は、どうして早く思いを伝えなかったんだろうって
ずっと後悔してました。
もし伝えていれば、今頃隣にいたのは僕かもしれなかったのにとか考えて、心のどこかで変な期待もしたりして..。
だけど、今回きっぱりと桜良ちゃんに振られて、やっと未練を断ち切ることができそうです。ちゃんと思いを伝えてよかった．．
これでやっと前に進むことができます」

禅ちゃんは私達に優しく微笑んで見せた。