Restart〜二度目の恋もきみと

どうしたら、男の誤解を取ることができるのだろうか。

私が考えていると、隣にいた禅ちゃんが口を開いた。

「ねえ、犯人さん？
よく考えてみてよ。ずっと桜良ちゃんのこと着けてたなら分かるでしょ？
あの萌香って人ならともかく、こんなオドオドと頼りない桜良ちゃんに秘書課の仕事が務まると思う？」

男は禅ちゃんの言葉に私の顔をジッと見つめると言い返すことが出来ないのだろう．．
そのまま口を噤んでしまった。

「禅ちゃん．．．(怒)」

私は隣にいる禅ちゃんにムッとした表情を向けた。

「ごめんごめん！ほらッ、人には適材適所ってものがあるでしょ？」

禅ちゃんは私に向かって懸命に弁論している。

「君がまだ疑うというのなら、桜良が秘書課で働いていなかった証拠の書類を揃えてもいい。
まあ、君も松谷の嘘を気づいてはいながらも、受け入れたくなかっただけのようだけどね。きっと君が松谷に問いただしたところでしらばっくれて逃げられるのが落ちだろう。」

男は反論することもなく、黙って唇を強く噛み締めた。