Restart〜二度目の恋もきみと

「離せッッ!!もとはと言えば
あの女が萌香さんをいじめたのが悪いんだ。
秘書課で萌香さんを仲間外れにしたり、萌香さんの私物を隠したり書類を捨てたり、俺は彼女から全部聞いてるんだ!!」

男は竜海さんに地面に突っ伏させられながらも私を強く睨みつけた。

私は何のことか訳が分からず、
「あ、あのっ..さきほどから、何か誤解をされてるみたいなのですが、私が働いていたところは経理課ですし。
萌香さんとは話すことはおろか、お会いする機会すらなくてですね..」
男の恨みのこもった眼差しに声が震えてしまう。

「しらばっくれるんじゃないッ!!」

男の怒鳴り声に私はビクッと体を震わせた。

「桜良に怒鳴るなッ」

竜海さんは額に青筋を立てながら
男の顔を地面にさらに強く押し付けた。

男はググっと顔を歪ませている。

竜海さんは男を押さえつけたまま、
呆れたように大きく息を吐くと口を開いた。

「君はまんまと松谷の口車に乗せられてたわけか。
桜良が言うように、彼女がいたのは秘書課ではなく経理課というのは本当だ。
君も社会人として会社で働いていたのなら、経理課の人間が秘書課と仕事で一緒になることなどほとんどないことくらい分かるだろ?」

「お、お前たちの言葉には惑わされないぞッ」

しかし、男は竜海さんの言葉に少し動揺するも、頑なに耳を傾けようとはしない。