Restart〜二度目の恋もきみと

私の力では止めることはできない。
早く助けを呼ばなきゃッ。

私はすくんだ足を奮い立たせ踵を返して駆け出した。

「だ、だれかー、たすけてくださいッ」

懸命に声を振り絞る。

しかし、ハッと二人の方を見ると、いつの間にか形勢逆転して 
男が禅ちゃんに馬乗りになって
禅ちゃんにナイフを向けていた。

そして男のナイフが禅ちゃんの顔の近くまで迫っていたのだ。

禅ちゃんは男の手首を掴んで必死でそれを押しとめようとするが、
相手の男も死に物狂いで力を込めている。

そして、ついに禅ちゃんの頬に刃がスッと掠めた。

禅ちゃんは「ツッ...」と苦痛に顔を歪めた。

「止めてッ」

私は男に訴えかけるように叫んだ。

私の大きな叫び声に男は少し怯んだが、
「うるさいッ!!」
完全に我を失っている男は再びナイフを持つ手に力を込めた。

再び刃の先端が禅ちゃんの
目の前まで差し迫る。

禅ちゃんは必死に男の手を持ってとどめている。

「ダメっ!!!」

私は居ても立ってもいられなくなり
急いで二人の元に駆け寄ると
男のナイフの持つ腕をつかんだ。