しかし、禅ちゃんはひるむ様子もなく言葉を続ける。
「本当に好きな人には復讐の手伝いなんてさせないよ。
きっとあんたは復讐するための萌香って女の駒なんだろうね。」
禅ちゃんはあざ笑うように言った。
まるで、男の敵意を私から自分に向けるように。
「黙れと言ってるのが分からないのかッ」
男は目を血走らせながら叫ぶとナイフを振りかざして
禅ちゃん目掛けて襲い掛かってきた。
「キャアアッ」
私は思わず叫び声を上げた。
すると、禅ちゃんは身をかがめて向かってくる男の懐に
思い切り突進していった。
男はその拍子に地面に尻もちをついた。
そして、尚もナイフを振り上げて起き上がろうとする男を
禅ちゃんはそのナイフを持つ手首を持ってなんとか阻止している。
「禅ちゃんッ」
「桜良ちゃん、早くッ!!今のうちに逃げてッ」
禅ちゃんは私に逃げるように声を上げた。



