Restart〜二度目の恋もきみと

「あ、あの...お願いですから、
翠には手を出さないでください...」

私は震える声をなんとか振り絞った。

「君が変な行動をしなければ彼女には何も危害を加えない。いいね?」

男の言葉に私はコクリと首を縦に振った。

「僕は今から会計を済ませて店を出るから
君もなにか理由をつけて僕と一緒に店をでてください。
もし、余計なことを言ったり、妙な真似をしたら..」

男はスマートフォンを持つ手とは逆の手で
自分の上着のポケットに手を入れると
中に入っているものをちらりと私に見せつけた。

そのキラリと光る鋭いものに私は顔を青くした。

「それじゃあ、行こうか」

男はスマートフォンを私の手のひらに乗せると
何事もなかったように立ち上がった。

そして、男は近くのテーブル席の片づけを
していた女性バーテンダーさんに
「すみません。お会計お願いします」と声を掛けた。

女性のバーテンダーさんは
「はい。畏まりました」と
笑顔でレジへと向かっていった。

男はこちらにチラリと目を移した後
バーテンダーさんの後に続いた。