Restart〜二度目の恋もきみと

それから一時間くらい経っただろうか。

そろそろ竜海さんが来る頃かなと
私はバックからスマートフォンを取り出して
連絡が入っていないか確認する。

すると、竜海さんから一件のメールが届いていた。

『少し道が混んでるから、着くの遅くなりそう』
というメールだった。

私は『ありがとうございます。ゆっくりでいいので気を付けてきてくださいね』と返信をうつ。


「翠、ちょっとお手洗いに行ってくるね」

少し飲みすぎてしまった私は、翠に一言声を掛けるとトイレへと向かった。

竜海さんは気にしなくていいと言ったが、わたしのせいで折角の友達との食事を邪魔する形になってしまって申し訳ない気持ちになる。

私は洗面台で手を洗いながら深いため息を吐いた。

だけど、今日ここに来たことを後悔していない。

もし今日ここへ来ることを断っていたら
禅ちゃんとずっとわだかまりができたままだったかもしれないし。

それに人一倍気遣い屋で人の気持ちに敏感な禅ちゃんのことだ、
きっと自分のせいで私に嫌な思いをさせてしまったと気に病むに違いない。

私がハンカチで濡れた手を拭いていると
バックの中のスマートフォンがブーブーと震えているのに気づいた。