Side竜海

ピピピッ

目覚し時計の音がけたたましく鳴り響く。

目を覚ました俺は無意識に
横にいるであろう桜良を手を伸ばして探す。

そうか、別れたんだった...

ポッカリと空いた隣を眺めて
小さく息を吐いた。


2ヶ月前、桜良はこの家から出て行った。

俺は動揺から引き止めることもできず、
ただ彼女が出ていくのをぼう然と眺めていた。

本当に最低だな...
何であの時、縋り付いてでも止めなかったんだろう..
なぜ、俺は責めてばかりでちゃんと桜良の話を聞くことができなかったのだろう...

後悔だけが重くのしかかり、
額に手を当てると今度は大きく息を吐いた。

ことの始まりは一通の差出人不明の
手紙。

桜良は整形していると
ご丁寧にも整形前の写真まで添えて。

最初はただのいたずらか何かだと
思っていたが、その手紙に
青褪めた桜良に
本当のことなのだとすぐに察した。

そして、何故、教えてくれなかったのか
と問いただす俺に桜良はただ
「ごめんなさい」と何度も呟くだけだった。

正直、元の顔がどうかなんてどうでもよかった。

それより、正直に打ち明けてくれなかった
ことが俺は信用されていなかったんだと
その方がショックだった。


それ以来なんだか、俺と桜良の間に
ポッカリと大きな溝ができたような
感覚に襲われたのだ。